泡沫夢幻
小さいころ、よく遊んだ近所の公園の前で
買い物袋を持った女のこと祖父母らしき人物とすれ違う。
「おじちゃん、おばあちゃん、今日はありがとう。
お父さんとお母さんも聴きに来てくれたかな」
透き通る、でもどこか力強いこの声、どこかで…
思い出しながら歩いていると、いつの間にか家に着いていた。
玄関の戸を閉めようとしたとき、
『私もう一度、』
あぁ、そうだ。あの時の声だ。
あの日、俺はこの声を聞いて力をもらったんだ。