泡沫夢幻


小さいころ、よく遊んだ近所の公園の前で
買い物袋を持った女のこと祖父母らしき人物とすれ違う。

「おじちゃん、おばあちゃん、今日はありがとう。
お父さんとお母さんも聴きに来てくれたかな」


透き通る、でもどこか力強いこの声、どこかで…


思い出しながら歩いていると、いつの間にか家に着いていた。
玄関の戸を閉めようとしたとき、

『私もう一度、』
あぁ、そうだ。あの時の声だ。


あの日、俺はこの声を聞いて力をもらったんだ。


< 35 / 293 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop