泡沫夢幻


その女の子の顔は青白く、唇は紫色で、

とても軽かった。

俺が突然立ち上がったからか、
近くにいた女性教師がようやく駆け付け、
「保健室までお願いできる?」
と苦笑いで聞いた。

女の子を助けるのに必死で気づかなかったが、その子は俺の腕を抱きしめている。
「はい、わかりました」
ここで無理に彼女を引き離すより、保健室まで連れて行ったほうが早いと判断し、うなずく。

どうしようもできないのでその子をお姫様抱っこになるように抱え、
駆け付けに来た女性教師の後を追う。

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