泡沫夢幻


「あ、そうだ」
と颯太が何かを思い出したように俺に近づく。

「お前の家の前に誰かいたんだが...」
と不安そうな顔して伝えてくる。


「あぁ、それならよーママからも聞いてる」
不審者だろうけど誰にも手を出してないから警察につき出すわけにもいかない。


ところで、とポケットから紙切れを取り出しヒラヒラさせる颯太は
「今日も行くんだろ?おばちゃんと奏さんのとこ。
駅前の花屋のねえちゃんに捕まってよ~」
とそれを渡してきた。

「割引券?」
それは駅前にある、小さなお花屋さんで使える割引券。
店長さんは確か、母さんの友達だった気がするな...


「サンキュ。寄ってから行ってみる」
とそれを受け取り財布にしまう。

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