泡沫夢幻


「じゃあ、私はこれで帰るから。
夜は温めてから食べてね」

と残し帰っていった。



風邪を引いたわけではないがまだ眠い。
窓から暖かい日差しの指すリビングで
もう一度眠りについた。






昨日読んだ手紙には、
『5月1日から家で生活します。』
という父からの言葉があった。


「...父さん、おか、りなさ」


気持ち良さそうに寝言が部屋に響く。




だけど、


ここからが本当の始まりだということは



この頃は誰も知るはずがなかった。



< 81 / 293 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop