泡沫夢幻
「じゃあ、私はこれで帰るから。
夜は温めてから食べてね」
と残し帰っていった。
風邪を引いたわけではないがまだ眠い。
窓から暖かい日差しの指すリビングで
もう一度眠りについた。
昨日読んだ手紙には、
『5月1日から家で生活します。』
という父からの言葉があった。
「...父さん、おか、りなさ」
気持ち良さそうに寝言が部屋に響く。
だけど、
ここからが本当の始まりだということは
この頃は誰も知るはずがなかった。