不眠姫と腹黒王子
円side:2日目
朝、鳥の声で目を覚ました。
むっくりと体を起こすと、カーテンの隙間から
朝日が差し込んでいるのが見えた。
頭はいつもより軽い。
ああ、寝れたんだ…。
視線を落とすと、ブカブカのジャージ。
宮の匂いに包まれていると、
眠ってしまった事実ももう怖いとは思わない。
しばらくボーッとしていると、
隣で眠る結のスマホが鳴った。
結の好きなアイドルの歌だ。
なんか一瞬ドキッとした。
久々に目覚ましを聞いたからだろうか。
普段絶対にかけないし…
「…んん~…。
円…おはよ…。」
「えっ、あっおはよ!」
「ん?どーしたの?」
「な、なんでもない!」
私は我に返って慌てて着ていたジャージを脱いだ。
私、なかなかド変態なことしてない?
いや、もともと男子の匂いで眠れるって時点で
ヤバいのは自覚してたけど…
ジャージはないよ!ジャージは!!
男女逆なら即行おまわりさんだよ!
私はみんなが寝ぼけているうちにジャージを
持っていた袋に突っ込んだ。
こんなんじゃ、宮に好かれなくて当然だ…。
私はフッとため息をついた。