不眠姫と腹黒王子
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旭山動物園に行くグループはまとまってバスに乗り、着くとすぐにグループごとに別れた。
私たちも前が男子・後ろが女子で、
行きたいところを回る。
「次、どこ行こっか。」
結がにっこり篠原さんに笑いかける。
「ペ…ペンギン…とか。」
「え、篠原さんペンギン好きなの?」
「うん、大好き…。」
照れながら頷く篠原さんを見て、
心の中で身悶えする。
可愛い!可愛いっ!
私も、こんな可愛さがほしい!
テンションが上がる反面、表情には全く出せない。
「へぇ、篠原さんペンギン好きなんだ!」
篠原さんの言葉を聞き、
平塚くんが振り返って話しかけてきた。
「うん…。というか、動物全般好きで…」
「へぇ~!可愛いなぁ。」
「じゃあ次ペンギンのとこ行こっか。」
宮も振り返り、営業スマイルで答えた。
「ありがとう…。
ごめんね、私のわがままで。」
「なんで?可愛くていいじゃん。」
宮がそう言って笑いかけると、
篠原さんは顔を少し赤らめて逸らした。
可愛いのは…ペンギンか篠原さんか。
宮は分かっててあえてああいう言い方してるんだろうな。
分かってる。分かってはいるけど。
私は逃げるように宮と篠原さんから目を逸らした。