不眠姫と腹黒王子
「恭介もそう思うだろ?」
徹がニヤニヤしながら俺に問いかけた。
「まぁね。美人だよね、円。」
俺の外向きの返答に徹はふてくされた顔をした。
「へぇ~、宮でも女子可愛いとか思うのな。」
「そりゃ、俺も男だし。」
「じゃあクラスの中で一番ありなのって誰?」
たいして仲良くない男子がそう尋ねてきて、
言葉をつまらす。
「いや、あり…って、
そんなのいないよ…。」
「嘘つくなよ!
難攻不落なのにも理由があるんだろ?」
難攻不落なんじゃなくて、
コクってくる女の攻撃力が雑魚過ぎるだけだし。
「難攻不落なんかじゃないよ。
まぁ、円は美人だと思うし、仲もいいけどね。」
「ほー、やっぱお前らそういう感じなのかぁ。」
そういう感じってどういう感じだよ。
「ハハハ…どうかな。」
俺がぼやかすと、徹が「よし」と膝を打って、
スマホで誰かに電話をし始めた。