不眠姫と腹黒王子
円side:あの日
いつもと同じだった。
特に何も感じない日。
でも、あとから思い出したら唯一無二の一日。
私は重大なミスを犯した。
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ジリリリ…
うるさい…
猛烈な眠気の中、そう思った。
4月22日。
確か火曜日だった。
ゴールデンウィーク明けのテストに向けて、
早々に準備していた頃。
前日遅くまで勉強していたから、
家を出るギリギリまで寝ていたかった。
それなのに
ジリリリリリ…
私の携帯ではないアラーム音が私の耳を刺した。
「うるさい…」
そう言っても、アラーム音は消える気配がない。
うるさいうるさい!!
この音…
絶対お母さんだ。
私の母親は仕事が忙しくて、
夜中に帰ってきては朝早く出る人だった。
その頃の私はそんな生活リズムを崩す人物を
疎ましく思っているほどだった。
「お母さん!」
返事はない。
イライラがさらに募っていく。
うるさい
うるさい
もっと寝かせてよ。
私は疲れてるんだ。
鳴りやまないアラームにしびれを切らし、
私は寝床から起き上がった。
アラームの音の元へ向かうと、それはリビングだった。
私はイライラしていた。
すごく些細なことに。
ほんの1時間早いアラームに。
私はリビングのソファで眠るお母さんに声をかけずに、そばのスマホを手に取り、アラームを切った。
お母さんは静かに
静かに
眠っていた。
イライラしていた私は、スマホを放り投げて自室に寝に戻った。