不眠姫と腹黒王子
数時間後ーー
父親の叫び声で目を覚ました。
「お父さん?
おかあ、さん……?」
4月22日
7:38
母が死んだ。
死因は虚血性心疾患。
過労だった。
問題はその後。
ボーッとしているうちに済んだ鑑定。
死亡推定時刻は6:50。
私が母のアラームを消した5分後だった。
「10分前に異変に気づけていたら…」
鑑定していた医者っぽい人が言った。
父は泣いていた。
私は泣けなかった。
ただ、
ただ
『何か、気づいたことはありませんでしたか?』
「いいえ…」
父が泣きながら言う。
「娘さんは…」
「ないです。」
私は逃げた。
記憶から、真実から。
自分の身を守るために。
いつも私はそうだ。
あの日も。
いつも。
私が私を大切にしているからいけないんだ。
私なんて。
私のせいでお母さんが死んだんだ。
私が寝たせいだ。
もう寝ちゃダメだ。
私のせいだ。
私が
私が…
殺した。
私が殺した…!!!
もう寝るな。
こんな気持ち、思い出さないために。
寝るな。
二度と。
寝るな、寝るな
寝るな
寝るな……