不眠姫と腹黒王子



これは…どーするつもりなんだ…?
クラスメイトの前で近づいてきたってことは、公表するつもりなのか…?

徹に教え終わり、次に円の質問に答える。

「…で、これ代入すんの。わかった?」
「え…あ、ごめん。ボーッとしてた。
もっかい途中から。」
「えっ…ああ、だから…」
「え?なんでここが微分なの?」
「それ最初に説明しただろ。」
「あ、ごめん。最初からもっかい…」

「ッチ…やる気あんのかよ。」

そう言ってしまってハッとなる。

慌てて周りを見た。
幸い、聞こえる範囲には人はいなかった。


「宮くん、円の前だとキャラ危ないね。」
「キャラって言うな。」
「ごめんね。宮といると舞い上がっちゃって。集中できない…」

こ、こいつは…!
恥ずかしくねぇのかよ!!
いや、まぁいつものことだけどさ。

俺の方が恥ずかしくなって、顔を背ける。


「やだ、円ってばかーわいい!!」
「いいなぁ、恭介。」

「うっせぇ…黙れ…
お前も恥ずかしいこと他のやつの前で言うな。」

「え、恥ずかしい…?」

「そうだぞ。恥ずかしくなんてない。
人が人を好きなのはとても素敵なことだ。
な?円ちゃん!」

「うん!
私、宮のこと大好き。」

俺の顔は瞬く間に温度を上げていく。

「円ちゃん、そういえば昨日帰り道どーだった??」
「あ、私も聞いてない!教えて!」

「え…普通に駅まで一緒に帰って…
あ、手ぇ繋いで…」
「おい、円。黙れ。」
「あ、帰り際『宮吸い』したら、宮照れてて可愛かった!」

「み、宮吸い~!?」
「ギャハハ!そりゃ照れるわ!」

佐竹さんと徹がケラケラと笑っている。


コイツ、なんでそんな恥ずかしいこと…!
てか、徹たちもうっぜぇええ!!


「あの~、宮くん。」


「なんだよ、うっせぇな!!」



その瞬間、教室が静まり返った。

「え…」

呼び掛けられた方を振り向くと、
クラスメイトの女子。

「あ…ご、ごめん…!」

や、やっちまった…!!!


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