不眠姫と腹黒王子
『放課後、自習室2に来て。』
宮は返事も返してこなかった。
まぁ、無視したらどうなるかあいつ自身が一番分かってるだろうし。
私は直接宮に接触することもせず、
放課後を主にうたた寝しながら待った。
***
放課後ーー
自習室2の扉を開けると、そこには既に宮がいた。
「おせぇ。」
「ごめん。
3階だと階段上るのに時間がかかるの。」
上がった息をふーっと落ち着かせる。
「ハァ…いいから。さっさとやるぞ。」
「うん。」
宮はやっぱり私の前だと、王子様はやらないみたい。
昨日の別れ際に言った言葉が効いてたりして…
いや、ありえないか。
私は自習室の椅子を何個かくっつけ、
簡易式のベッドを作った。
そこに家から持参したクッションとタオルケットを置く。
「こんなんで本当に寝れんのかよ…」
「宮が眠る引き金になってるなら、
睡眠不足だしどんなところでも寝れるよ。」
「で?
俺はどうしたらいいわけ?」
私は簡易ベッドに寝転がり、
タオルケットをかけた。
「そばにいて欲しい。」
「へぇ~、大胆だな。」
何を今さら…。
宮はちょっとふざけているようにも見えた。
「うるさい。
私が寝るまで…、できれば寝てからも一緒にいて。」
「はいはい。
わかりましたよ、お姫様。」
宮は私のそばに椅子を持ってきて、
そこにどっかりと座った。