不眠姫と腹黒王子
「な、なんで…」
落ち着いた結は私に尋ねた。
「お母さんがさ…眠ったまま死んだじゃない?
だから、なんか…寝るのが怖い気がして…」
「そっか…。気持ちはわかるけど、
それで…なんで宮くんが…」
結は不安そうに宮を一瞥した。
「なんか…匂い?」
「っおい!」
「あ、ごめん。」
「匂いって…
まさか!円と宮くんって付き合って!?」
「「それはない。」」
二人で揃ってそう言うと、
結はプッと吹き出し、
ようやく以前のような明るい笑顔を見ることができた。
「…でも、そっか。
私じゃ、どうしようもできなかったってことだよね。」
「うん…。
でも、本当に結には救われてたんだよ。
それだけはわかって。」
「うん。」
「それで…もしよかったら、
仲直りしてほしいな…。」
そう言って、結を見ると、
さっきとは反比例するような満面の笑顔だった。
「あたしも、円と一緒にいたい!」
私と結は抱きしめ合った。
嬉しい、嬉しい…!
そのとき、昼休み終了のチャイムが鳴り、
屋上にいた人たちは立ち上がって出口へ向かい始めた。
「私たちも戻ろっか。」
結が私の手をぎゅっと握って、そう言った。
「うん!」
「あ、そうだ!
宮くん。」
「何?」
結は宮をじっと見つめている。