不眠姫と腹黒王子
宮side:穏やかな花火
イライライライラ…
「円ちゃん、今日いつにも増して可愛いね!」
「え…あ、ありがと。」
なんなんだ、円のやつ。
なんで今日に限ってこんなにめかし込んでくるわけ?
合コンみたいなもんだって、徹が言ったのに。
まさか彼氏作りに来たとか言わねぇよな?
少しの会話のあと、徹は円にぐっと顔を近づけた。
おいおい、何やってんだよ。
そんな隙だらけで、徹にキスされても知らんぞ。
円の表情を覗くと、
ちょっと困ったような顔をしていた。
表情に出すなんて珍し。
「…おい、徹。」
「何?」
徹は俺の呼び掛けにすぐに反応した。
「あのケバブ、うまそうじゃない?」
「ははっ…
お前って単純でかわいいところもあるんだな。
かまもかけてみるもんだな。」
「は?」
「円ちゃんとられると思って焦った?」
「なわけ!…。」
声をあらげそうになる自分を理性が抑える。
「ふーん」
徹はまるで俺の言い分を聞く気はないようだ。