不眠姫と腹黒王子
イライライライラ…
俺が徹をとってから、円はひとりぼっちで横をとぼとぼ歩いている。
佐竹さん…は、他の男子と話してんのか。
じゃあ他の女子とも話したりすりゃいいのに。
祭りでまでぼっちやんなくていいだろ!
「おーい、宮?」
「あ?」
「『あ?』って…。キャラ崩れてんぞ。
ボーッとしてどうしたんだよ。」
「……。
ちょっと言ってくる。」
「??」
俺は円の肩を掴んだ。
円はビックリしたように俺を見上げた。
「なにぼっちやってんだよ。
他の女子とでも話してこいよ。」
「いいじゃん。自由でしょ。」
「だからって一人じゃつまんねぇだろ。」
「宮が平塚くんとったんじゃん。」
「俺は助けてやったんだよ。」
「頼んでないけど。
それに今日は男女で仲を深める日でしょ?
私は結より平塚くんや宮と話すべきなんじゃない?」
「別にそんな日だって決まってる訳じゃないからさ、いろんなやつと話してみろよ。」
「そうなの?」
円は真顔のままだけど、驚いているようだ。
本当に勘違いしてたのか。
「うん、わかった。
でも…」
円は少し口角を上げて、俺を見上げた。
「今は宮と話せてるから、
他の人に話しに行くのもったいないや。」
「っっ…!
……
ハァ…」
「??」
「お前は、もうちょい自覚持て。」
「?うん…。」
円はとりあえず頷いている様子だ。
こいつの"とりあえず"の返事は分かりやすい。