不眠姫と腹黒王子




それにしても…

円の姿を横目でさっと見る。

こいつ、やっぱ髪整えてると綺麗だな。

サラサラの髪で、風呂上がりに会ったときは正直グッと来た。

絶対言わねぇけど。


「やっぱ宮といると眠いのにな。」


円はとろーんとした目で俺を見上げた。

鼓動が早まっていく。

いや、冷静になれよ。相手は円だぞ?


「あっそ。」

必死で冷静なふりをする。

円は目をグリグリとこすった。


「さっき、宮のことで女子から責められちゃったよ。」

「ああ、班決めのやつだろ?どうせ。」

「うん。」

「いやぁ、あんときは王子様やめて
お前のこと殴ってやろうかと思ったわ。」

「なんだ。やっぱり怒ってたんだ。
なんにも言わないから、
相当悔しがってるとは思ったけど。」

「っ、おかげさまでな。」

「まぁ元はと言えば、あんたが偉そうな態度とったからだけどね。」

「うるせぇな。
俺だって女どもにイラついてたんだよ。」

「八つ当たりか。」


円は肘で俺を小突くと、少しだけ笑った。


あーくそ。
不意打ち…


「宮?」


円の、二人きりになると意外と素直なところとか、
天然で言ってくる言葉とか、
本当たまに見せる笑顔とかに
俺は弱い。

最初に惚れるなって言ったのは自分だ。
さすがにこれ以上ハマるのはヤバい。

こいつには1ミリだって惚れたくない。


「もう寝るぞ。先生来たら面倒だし。」

「…うん…。」


そんな残念そうな顔するなよ。

くそっ…


俺は着ていたジャージの上着を脱ぎ始めた。


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