狼の愛したお姫様
「まだ余裕あるんじゃん。」
少し、優しくしすぎたかな。
「お前なんか、あの方が動けば……っ」
それ以上は言わせない。
なんか、この男同情してたから生かしてたけどやっぱムカつくわ。
「…あんま調子乗んなよ?」
急に声が低くなったからか、男はガタガタ震え出した。
…うん、その方が怯えてていいや。
「…こ、殺せよ……」
僕の目を見て本気さが伝わったかな。
覚悟を決めたようで、男はかたく目を瞑った。