狼の愛したお姫様
『とりあえず…その…』
叶望には珍しくはっきりしない。
「ん。どした?」
さっき久しぶりに低い声出したからな…今普通の声出せてるかな。
気を遣いながら比較的優しい声で聞くと、深呼吸する声が聞こえた。
『はやく、帰ってきてね?』
………あぁ、神様ありがとう。
「秒で帰る。」
その後の記憶なんて知るもんか。
ただ僕は、その時だけは世界記録を出せたんじゃないかなってくらいのスピードが出せた。
「ただいま、叶望。」
「おかえり!」
───この笑顔を守る為に、僕ができることはどれくらいあるのかな。
遥side end