狼の愛したお姫様


『とりあえず…その…』


叶望には珍しくはっきりしない。


「ん。どした?」


さっき久しぶりに低い声出したからな…今普通の声出せてるかな。

気を遣いながら比較的優しい声で聞くと、深呼吸する声が聞こえた。



『はやく、帰ってきてね?』





………あぁ、神様ありがとう。







「秒で帰る。」






その後の記憶なんて知るもんか。


ただ僕は、その時だけは世界記録を出せたんじゃないかなってくらいのスピードが出せた。





「ただいま、叶望。」

「おかえり!」




───この笑顔を守る為に、僕ができることはどれくらいあるのかな。








遥side end




< 136 / 213 >

この作品をシェア

pagetop