狼の愛したお姫様
「叶望、最近夜遅くにどこに出かけているの?」
今日も傷だらけ、ボロボロを母親を叶望は見つめる。
その度に泣いていたあの頃の叶望はもう居ない。
「…関係ないでしょ。」
それは初めてきた反抗期か、はたまた両親によって捻じ曲げられた性格の表れか。
「関係ないことはないわよ。…夜遅くに出ていって、お父さんも心配…」
「するわけないじゃん!!」
声を荒げて、叶望は飲んでいたお茶が入っていたコップを投げた。