狼の愛したお姫様
「…どうしてそんなに変わっちゃったの?」
今更になって思うよ。
きっとお父さんもDVで、お母さんも私と同じ“洗脳”されてたんだね。
「お前のせいだよ。」
出会った頃の怜は。
“俺がお前を守ってやるから。”
誰よりも強くて、優しくて。
“…好きだ、叶望。”
好きだと言われた時は、無意識に頷いていた。
そのくらい、好き“だった”のに。
「痛い…っ、やめて!」
どんなに大声を出したって、聞こえないことくらい知ってる。