狼の愛したお姫様


「遥たちは、関係、ない…から…」


怜の体重により圧迫されていた腹部が軽くなり、その間に急いで呼吸をする。


「三神 遥……」


…気になどしていなかった。
この部屋に貼ってある壁紙なんて。




でも、あれは……



「はる、か…」


ぐちゃぐちゃに切り刻まれていて、画鋲が何百本も刺さってるあれは遥だ。



「あぁ、これか?これなぁ……ムカついたから、刺してたんだよ。」


その狂気の沙汰に身震いがする。

次第に襲ってきた吐き気を必死に我慢して、その壁紙を見ないように目を瞑った。




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