狼の愛したお姫様
それだけは嫌だと、信じたくないと、頭の中がぐちゃぐちゃで。
「やめて…言わないで…!」
耳を塞いでも、その手を拘束されて嫌でも声が耳に入る。
「いや…やめて……お願いだから…!!」
我慢していた涙が溢れる。
この男の前だけでは泣かないと決めていたのに、本当の事を言われるときっと私は壊れてしまう。
「お前の両親は───────」
怜が笑ってる。
それは多分、今までで一番の笑顔で。
「俺が殺したんだよ。」
はっきりと、私の耳元で囁いた。