狼の愛したお姫様
「紅蓮3代目総長、東条 怜。」
私の後ろから声がした。
それは私が聞いた2つ目の“隠し事”。
「女を脅しでしか支配できない、恋愛ビギナーってとこ?」
遥はそう言うと、私とバッチリ目が合って笑った。
「そこで待ってて。…必ず助けに行くから。」
その言葉がはじまりの合図だったのか、一斉に喧嘩は始まった。
「…三神 遥……」
──その頃、私を掴んで離さない怜の声は憎しみが籠った声で遥の名前を呼んだ。