狼の愛したお姫様
「遥、GPS外し───」
…危ね。
あと少しで半径2m以内に入るとこだった。
「ここ、置いとく。」
ネックレスを見た瞬間、遥の横にいた女の瞳が揺れた。
きっと大切なものなんだろう。
「傷はつけてない。仕方なく中身は見たけど…」
距離を保ちつつ、女に説明をするとその目には光るものがあった。
「ありがとうございます…」
ネックレスをぎゅっと握り、泣き出した女の背中を遥が摩る。
…だいぶお熱だな。