狼の愛したお姫様
「ん…」
「目、覚めたか」
その距離は近くて、咄嗟に距離をとった。
「いい。ちょっと話したいことあるから近くに来い……いや、来て。」
気まづそうに手招きをされて、少しずつ近寄った。
近づく度に握りこぶしに力が入るのが見えて、少し遠慮をしたけど。
「…悪い、要らねぇなんか言って。」
掠れた声で言われ、胸が締め付けられた。
「あれは、私が勝手に作ったから…私が悪いんです」
…そう、私が勝手にしたこと。
だから冬真さんが謝ることじゃないのに。
「そうやっていつも、自分が悪くないのに謝ってんのか?」
すべてを見透かされているようで、少しだけ怖くなった。