狼の愛したお姫様
「なんか下、騒がしくねぇか」
小説を読んでいた冬真が、静かに立ち上がり部屋を出ていった。
確かに、少しざわついてる。
「湊都、怪我人。手当て頼む」
「わかりました。すぐに行くので、大人しくしてるよう伝えてください。」
怪我人…?
「叶望ちゃん、そんな顔しなくても大丈夫だって!怪我なんて日常茶飯事だし!」
朔夜はそう言うけど…やっぱりここの人が傷つくのが、耐えられない。
それくらい私はここの人達のことを大切に思ってしまったから。