狼の愛したお姫様

「叶望、電話鳴ってるよ？」


そんなことを考えながら、額縁に飾られた特攻服を着たみんなの写真を眺めていると電話に気が付かなかった。



「…僕が出ようか？」


ディスプレイには“怜”の文字。
無意識に嫌な顔でもしてたのかな、気を遣わせてしまった。


「ううん、大丈夫。ちょっと出てくるね」


ここ最近かかって来なかったから、もう諦められたのかなって思ってた。

そんなわけないよね。
あの人の私への執着は異常で、狂ってるから。






「───もしもし。」


電話に出ても何も聞こえない。

静かすぎるくらいで、少し怖くなる。