廻天の王女と太陽の騎士は穏やかに恋をする
この世界に着いてすぐに病院に行きましたから、家での生活は初めてです。
私には、シャキアの使っていた部屋が割り当てられました。
部屋の広さは7.5畳の洋間で、とても日当たりの良い部屋です。
部屋にはベッドとテーブルとソファーが配置され、テーブルの上には花が飾られていました。



テレビを見て学んだ限りでは、この家は一般的な広さのようです。
有名な人やお金を持った人たちは豪邸と呼ばれる広い屋敷に住んでいますが、ここはそれほどのものではありません。
一階に居間と両親の部屋、そして二階にシャキアの部屋とサンドラの暮らす部屋と、そしてもうひとつ、狭い和室があります。
城とは比べ物になりませんが、たいていの者たちはこのくらいの家に住んでいるようです。



「さぁ、どんどん食べて下さいよ。」

テーブルの上にはたくさんのご馳走が並んでいました。
病院の食事とはだいぶ違うものです。



「ところで、これから私はどのように暮らせば良いでしょう?」

「どのように…とは、どういうことでしょう?」

「私くらいの年の者は、大概、仕事をしているようですが…」

「仕事?そんなことまだ無理です。シャルア…い、いえ、紗季…は、何も考えずのんびりしていれば良いのです。」

確かに、お医者様にもまだ無理はしてはいけないと言われてはいました。
しかし、私はこの世界に来た以上、特別扱いはされたくはなかったのです。
< 10 / 74 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop