廻天の王女と太陽の騎士は穏やかに恋をする




次の日から、勉強が始まりました。
父は仕事に出かけましたから、母が私の先生です。
習うのは文字ばかりではありません。
掃除や料理の仕方も教えてもらいましたし、スーパーにも連れて行ってもらいました。
病院と家しか知らなかった私にはとても刺激的なことでした。
テレビでは見たことがあったのですが、私が見たのはスーパーのほんの少しの光景です。
いざ実際に行ってみると、思っていたものとはやはりずいぶん違いました。



「食品がこんなにたくさん…!」

私は城の厨房にも入ったことがありません。
王女である私がそんなところに出入りすることはありえなかったのです。
ですから、これほどたくさんの食品を見たことがなかったのです。
いえ、城の厨房にもきっとこれほどの品数はなかったと思います。
この世界では、お金さえ出せばなんでも手に入るようです。
なんと便利な世界なのでしょう。



「あ、これはお豆腐…あ、たまごもありますね。」

病院で食べたことのある食品もたくさんありましたし、初めて見るものもたくさんありました。



「ちょっと休みましょう。」

買い物を済ませた私たちは、スーパーの近くのカフェに入ってお茶を飲みました。
病院にも似たようなカフェがあったので初めてではありませんでしたが、やはり病院の中のものとは雰囲気が違いました。
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