廻天の王女と太陽の騎士は穏やかに恋をする




「はい、では、これは?」

「がっこう、ですか?」

「はい、その通りです。」


勉強は一日も休むことなく続けられました。
その甲斐あって、少しずつですが、書いたり読めたりする文字が増えていきました。
あちこちに出かけましたから、体力もついていきました。



「そうだわ。スマホもお教えしましょう!」

スマホのことは知ってました。
テレビでも見ましたし、病院でもほとんどみんなが持ってましたから。
私も関心はあったのですが、まだ文字がほとんど読めませんでしたから、使えないものだと諦めていたのです。
でも、確かに、今の私なら使えるかもしれません。



「まさか壊れてたりしないわよね。」

母がそんなことを言いながら持って来たのは、キラキラと輝くケースの付いたピンクのスマホでした。



「これ…紗季のスマホなんですよ。」

母がそう言って愛しそうにスマホをみつめ、スマホにコードを繋ぎました。



「何をしているのですか?」

「充電です。スマホには電気を与えないと使えないんです。」

「そうなんですか。」

まだ詳しいことはわかりませんが、この世界の者達はこのスマホで、遠くにいる者とも連絡が取れるそうです。
他にもいろいろなことが出来るらしく、サンドラは魔法よりもすごいものだと言っていました。
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