廻天の王女と太陽の騎士は穏やかに恋をする
「今日はお天気が良いからですわ。」

私はそんなことを言って、誤魔化しました。
みんながそれを信じくれたかどうかはわかりませんが、まさか、私が小林さんと連絡を取ってるなんて思わないはずです。
そう思うと、どこか楽しいような気もします。
こんなに楽しい秘密は初めてです。







LINEでのやりとりはその後も続きました。
幸いなことに、シャキアと小林さんは、ホワイトデーまではそれほど親しくはしていなかったようです。



『ところで、僕のLINE ID、なんであんなものなのかわかりますか?』

『いえ、全然わかりません。』

『僕、正午ピッタリに生まれたらしいんですよ。
だから、父親がしょうごにするって言い出して、母は反対したらしいんですが、父は反対されたことでますます意地になって、しょうごにしたらしいんです。
さすがに漢字は正午じゃなくて翔悟にしてくれたんですけどね。』

『そうだったんですか。』

そうは答えたものの、私にはどういうことなのか、まだピンと来ていませんでした。
私はnoonという言葉をスマホで調べました。
それは外国の言葉で、意味は『正午』だということがわかりました。



『全く困った父ですよね。』

小林さんの話はとても面白いのに、私は面白いお話が何も出来ません。
具合が悪くなる前には、私にも楽しいことはあったはずなのに、いざ考えてみると、特には何もないのです。
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