廻天の王女と太陽の騎士は穏やかに恋をする
(あ!)

期待と不安に胸が高鳴る中、電話はすぐにかかって来ました。



「はい。」

声が震えないように…懸命に平静を装って私は電話に出ました。



「こんばんは、内山さん。小林です。」

「こ、こんばんは。」

イメージ通りの無邪気で明るい声でした。
私は緊張のため、声が詰まってしまいました。



「わぁ、なんだか嬉しいなぁ。
本当にどうもありがとう!
君と話すのはホワイトデー以来ですよね。」

「は、はい。そうですね。」

ホワイトデーというものがどんなものなのかわかりませんでしたが、私にはそう言うしかありませんでした。



「内山さん、本当は呆れてるんじゃないですか?
いや、もしかして引いてる?」

「え…?そんなことはありませんが、どうしてですか?」

「だって…返事をもらったわけじゃないのに、僕はずっと君に花を贈ったりして…
しかも、匿名だなんて、なんか卑怯でしたよね。ごめんなさい。」

「い、いえ、そんな!卑怯だなんて思ったことありません。
お花もとても嬉しかったし、どなたなんだろう?って気にもなってました。」

「僕じゃないか?って思いませんでしたか?」

「えっ?え…っと…」

どう答えたものかと悩んでいたら、小林さんはくすりと笑いました。
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