廻天の王女と太陽の騎士は穏やかに恋をする




(この人が小林さん…)



電話で話した日から数日後…
小林さんから画像が送られて来ました。
綺麗な花の画像です。
私はその花を知っていました。
桜という花で、近所にも今たくさん咲いていますが、画像は夜に撮ったもので、昼間に見る桜とは雰囲気がまた違い、趣がありました。
その桜の画像が何枚かと、そして、最後に桜の花の前で微笑む男性のものが…
直観的に、これは小林さんだと思いました。
シャキアが言っていた通り、少年のような無邪気な笑顔の男性でした。
初めて見たのに、なぜか昔から知っているような…不思議な感覚を覚えました。



『昨日、同僚と夜桜を見て来ました。
男同士で桜見物とは切ないです。』



その文を読みながら、私は考えました。
どうして、男同士ではいけないのか?



(もしかして…)



これは、出来ることなら、男性とではなく、女性と行きたかったということでしょうか?
そして、その女性とはシャキア…



『内山さんは、もう桜を見に行かれましたか?』

『はい、家の近くに見に行きました。とても綺麗で感動しました。』

『今年の桜はもうそろそろ終わりですが、来年は一緒に見に行きませんか?』



(え?)



『私も桜は大好きです。本当に綺麗ですよね。』

直接的な答えは避けて、私は曖昧な返信をしました。
どう返事をすれば良いのかわからなかったからです。
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