廻天の王女と太陽の騎士は穏やかに恋をする




「おめでとうございます!シャルア様!」

私はゆっくりと首を振りました。



「家でも私のことは紗季と呼んで下さい。
もちろん、敬語もおやめ下さい。」

「……え?」

両親は顔を見合わせ、困ったような顔をしていました。



「まぁ、それは少しずつ慣れていけば良いじゃありませんか。
とにかく今日はシャルア…いえ、紗季が退院したおめでたい日ですから、皆で祝いましょう。」

サンドラの言葉で皆が笑顔になりました。
私も実は嬉しかったのです。
病院の生活にはすっかり慣れてはいましたが、それでもやはり家とは違います。
ここは私の家ではありませんが、信頼出来る人しか来ないという安心感からなのか、病院にいる時よりもリラックス出来ますから。



本当に、この世界の医療はたいしたものです。
たった半年足らずのうちに、私の体内から毒は消え去り、弱っていた内臓もだいぶ回復したのです。
祖国を離れるのは辛いことでしたが、そのおかげで私は命を長らえたのです。
すっかり諦めていた未来を生きることが出来るのです。



「では、まずは乾杯だな。
さぁ、みんな、グラスを持って!
紗季…の退院を祝って…乾杯!」

私は言われるままにグラスを合わせました。
皆、とても晴れやかな顔をしています。
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