この広い世界で君と出会い、恋に落ちて。


「だから、いっただろ。お前隙だらけなんだよ」

「...ごめんなさい」


二階堂くんのいう通り。


隙だらけだし、そうなってしまったときにどうしたらいいかなにも浮かばなかった。


きっとやめてくださいって大声で叫べばよかったんだろうけど、先輩の手を掴んでひねるくらいしてもよかったんだけどそれをしなかったのは藤宮のご令嬢だから、その名を汚せなかったから。



「あいつ、あの様子じゃすぐばらすぜ。藤宮麗華には彼氏がいてしかもそれがあの、不良の二階堂だって」


不良。

わたしはそうは思わない。

まだ2回しか関わってない。

でもそのたった2回でもわかる。

彼は本当は優しいんだってこと。

だから自分でいって、自らの価値を下げないでほしいのに。
< 30 / 86 >

この作品をシェア

pagetop