この広い世界で君と出会い、恋に落ちて。

「お父さんには猛反対されたわ。お前にはちゃんと俺が婿を探すから、藤宮を背負ってくれるやつを探すからお前は恋愛禁止だ！なんて怒鳴られてね」

「あのおじいちゃんが？」


あんな温厚で優しいのに。


「おじいちゃんも昔は怖かったのよ。でも今あの人をみるとお父さんの言葉は間違ってなかったって思うわ」

「どうして？」

「会社を経営するってそういうことなのよ。簡単なことじゃない。だからこそ、自分の後継者選びは慎重に行うの。息子がいたら、息子に継がせればいいのかもしれないけれど、娘しかいなかったらそれこそ必死でね」

「それは、わかるけど」

「だから、あの人が苦労してるのみると思うの。やっぱりあの人には荷が重たかったんじゃないかとか、本当はもう嫌で逃げだしたいんじゃないかとか」

「...もしかして父さんって...」

「ええ。そうよ。わたしが高校時代に恋をした、ごく普通の男子高校生」

驚いた。

父さんは、仕事もできるしそれこそこの藤宮を必死に守ってる人だから、どこかのお坊ちゃまだと思ってた。