この広い世界で君と出会い、恋に落ちて。


「父さん、さっきはごめんなさい」


母さんと話し合ったあと、父さんの部屋へとやってきた。

この部屋を入ることは家族のわたしでもあんまりないんだけど、今日は特別だといれてくれた。


「いや、父さんのほうこそごめんな」

「父さん...」

「麗華には苦労をかけたくなかったが、それが逆に麗華を傷つけてしまった」

「そんなことないよ」


父さんはきっと誰よりもわかってる。

普通の男子高校生からこうして藤宮を背負う存在になったんだから。


「わたし、会うよ。婚約者に」

「...いいのか?いや、こんなこといったらあれだけど、もう少しあとでも...」

「父さんがそれいう?」

「ああ、そうだな。たしかにな」

慌てたような、困ったような、こんな父さんみたことない。

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