この広い世界で君と出会い、恋に落ちて。


「あ、麗華ちゃん。いや、なんか二階堂くんのお父さんが社長で、二階堂くんはその跡継ぎだって聞いたんだよね」

「...誰から?」

「ええ。ううーん。誰だっけ。忘れちゃった、ごめんね」


「でも、二階堂くんがお父さん殺したっていってなかったっけ?」


こんなこと口にだしたくなかったけれど、信じたわけじゃなかったけれど、彼のお父さんが社長だというなら、この噂はやっぱり嘘だったということなのか。


「あ、ううん。違う違う。なんか、前のお父さんを殺しちゃって、それで今のお父さんは新しいお父さんなんだって。まあわたしも全部噂で聞いただけなんだけどね」

「あ、ちょっと麗華ちゃん!?」


いきなり走り出したわたしを呼びとめる声を無視して、わたしは屋上へと向かった。


わたしは二階堂くんのことになると、我を忘れてしまう。

それを二階堂くんはわかってたから、わたしから離れたんだろうか。
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