この広い世界で君と出会い、恋に落ちて。
「ねえ、ここ、怖くない?高くない?」
「ならくんなよ」
のぼりおえたはいいものの、結構高くて怖い。
でもそれよりも、もっと、
「話したかったから」
その気持ちでいっぱいなんだ。
二階堂くんは「はあ」とため息をついた。
「で、なにを聞きたいわけ」
「うーんと、なんでわたしがお嬢様って知ってたかと、お父さんのこと」
「みてみろよ」
「え?」
「下からみた景色と、ここからみた景色って全然違うんだ。たった数段のはしごをのぼっただけで、こんなにも世界が違ってみえるんだよ」
たしかに、違う。
もっと遠くまで、はるか向こうまで見える。
「俺さ、小さい世界しか知らなかった。こんなにも世界は広いのに、その中のたった小さな世界しか」