この広い世界で君と出会い、恋に落ちて。
そんな父さんは、俺が小学校を卒業するほんの少し前に、社長の座を奪われた。
父さんを信頼してくれてた人たちの裏切り。
それは父さんを変えてしまう理由としてはとても大きな出来事だった。
「風、酒もってこいよ」
中学にあがると、働きもせずずっと家にいて酒を呑む毎日。
呆れた母さんはでていき、それでも俺は父さんのそばにいた。
好きだったからだろうか、理由はいまでもわかんないけど、ただ父さんと離れたくなかった。
「もういい加減、働いてくれよ」
「うるせえよ、お前になにがわかるんだよ」
はじめは金があったものの、どんどんなくなっていく。
俺がバイトして稼いだお金も全部、父さんにとられる。
そんな生活が1年続いた。