この広い世界で君と出会い、恋に落ちて。


「俺の旧姓は、竜崎。聞き覚えない?」

「竜崎って...あの、竜崎...?」


竜崎といえば、大きな会社でそれこそ藤宮と同じくらい。

優しそうなおじさんって感じの社長さんで、わたしにもよく話しかけてくれた。

あれが、二階堂くんのお父さんだったってこと?



「パーティーは嫌だったけど、唯一楽しかったのはそこにきてる同い年くらいの女の子と遊ぶことだった」


外には大きな庭があって、まだ小学生だったわたしはそこでよく遊んでた。


「その子は明るくて常に笑っていつでも楽しそうにしてるから、俺もそれにつられて笑ってた。今の下手くそな笑顔じゃなくて、とびっきりの笑顔で」

「...っ、それって」

「藤宮麗華お嬢様」

「いじわる」

ここでお嬢様っていうなんていじわるだ。
< 59 / 86 >

この作品をシェア

pagetop