この広い世界で君と出会い、恋に落ちて。
「こちらデザートでございます」
ウエイトレスさんが持ってきたのはコース料理の一番最後であるデザート。
「わたしからお断りします。麗華さん。あなたはもっとわがままになっていい」
「ただこのデザートが食べ終わるまで、あなたを見送るまではあなたのことを好きでいさせてください」
「...ありがとうございます」
こんなことしかいえないわたしは、まだ子供だ。
全然大人じゃない。
デザートと一緒につく飲み物を、彼はブラックコーヒー、わたしはミルクティ。
そんなところでも、大人を感じてしまう。
わたしと竜司さんじゃ、それこそ釣り合わない。
彼のような、真っすぐに思いを伝えてくれる人を手放すなんて。
でも、この思いを無駄にしないようにしたい。