この広い世界で君と出会い、恋に落ちて。
「わたし、好きな人がいるの」
まだ出会って短いのに、わたしは二階堂くんを好きになった。
もうこの気持ちに嘘はつけない。
「でももし、その人と付き合えたとして、結婚できたとしても、父さんの気持ちに応えることができない」
二階堂くんは、社長というものを嫌ってるから。
お金持ちということを嫌ってるから。
だから、彼にとったらわたしは目障りかもしれないけれど。
でも、もしそれでも彼と一緒になれるなら、わたしはこの家を捨てる。
藤宮という名を捨てる覚悟はある。
煌びやかな世界を捨てて、2人で逃げるの。
ただ、平凡な生活をのぞんで。