この広い世界で君と出会い、恋に落ちて。


「風のあんなところ、はじめてみたよ」

「俺だって、あんな緊張したのははじめてだよ」

「はは、そうだよね」

「でも、よかった。ちゃんとお前の親に挨拶できて。今度はうちにもきてよ。紹介するから」

「...うん。わたし、しゃべれるかな」


風の緊張してる姿をみて笑っていたわたしだけど、その立場に自分がなったらそれこそ自分はかたまるかもしれない。


「いいよ。そんなかしこまる相手じゃないから。二階堂は藤宮より下なんだから、敬語も使わなくていいよ」

「あはは。それはだめでしょ」

「やっぱりお前、そっちのほうがいい」

「ん?」

「俺はお前が心から笑ってるならそれでいい」

「もう、なにそれ」



< 85 / 86 >

この作品をシェア

pagetop