寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
「今夜は絶対、キミを抱かない」
二週間後の土曜日。
ふたりは午後から、約束どおりに雪乃の実家へと向かっていた。
雪乃が助手席に乗り、晴久が運転するセダンの車内には、昼過ぎにホットサンドショップでドライブスルーしたコーヒーが残っている。
ふたりはここまで数時間のドライブを楽しんできた。
千葉への県境に差し掛かると、彼女はワクワクした様子で窓の外を眺める。
「雪乃のご両親はどんな人?」
ふと晴久が尋ねた。
「父は町役場の職員です。母も結婚してすぐ退職するまでは、同じだったみたいで」
「職場内結婚ってこと?」
「そうです。寿退社してからはしばらくスーパーのパートに出ていましたけど」
両親も職場内の恋愛だったと知り、安堵する晴久。ついでに「じゃあさ」と質問を続けた。
「お父さんとお母さん、年齢差はあるの?」
「え? いえ、同い年です」
(年の差はないのか……)