寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
「俺に下心がないと思う?」
「雪乃ちゃん、なんか良いことあった?」
いつもと変わらない和やかな総務部。
皆子は黙々と仕事をしていた雪乃を覗き込んで尋ねた。
「えっ……そう見えますか?」
眼鏡の奥で幸せそうに緩んでいる目もと、頬が上がりいつもより高い位置にあるマスク。
いつも雪乃をじっくり観察している皆子には、ほかの人には到底気付かない彼女の変化をすぐに感じ取れる。
「だってニヤニヤしてるもん。ほら、白状しろー? なにがあったんだー?」
「な、なにもないですって」
ボールペンのうしろでカチカチとちょっかいを出してくる皆子を止めながら、雪乃は首を振る。