中庸的な日常。
「しかしビックリしたよなぁ、こんな身近に作家がいたなんて。」

「磯野家の気分だよね。」真顔で言う桃さん。

「ホントに信じられないよ、あの寿くんが、、。」

「こんな事言っちゃ失礼だけど、笑っちゃうよね。」思い出し笑いをする桃さん。

ショッピングセンター内での出来事を話しながら駅に向かうふたり。

すると、向こうからサラリーマンが、タバコを吸いながら歩いて来た。

「私あれすっごく嫌。」不快極まりない顔をする桃さん。

「歩きタバコ?」

「未成年に吸わせない事より、もっと気にして欲しいよぅ」ため息をつく桃さん。

歩きタバコ。こんな迷惑な事は無い。
擦れ違う人々は、煙や炎、臭いに恐れおののく動物と化す。それ程までに迷惑なのだ。

少し前に桃さんが、歩きタバコの人とすれ違った時に、肘を軽く火傷した事がある。

「そうそう、熱いってより痛くてビックリするんだよね。」肘を押さえながら悔しがる桃さん。

「ホント跡形残らなくて良かったよ。」心配そうに見る青くん。

「それにさぁ?子供だったらちょうど目の位置じゃん?絶対ダメだよぅ」

「僕も桃さんもタバコ吸わないから、なんでそこまで吸いたがるかわかんないよね。」

「青くん口寂しい時、いっつも飴なめてるもんね?」クスリと笑う桃さん。

「知ってた?関西だと飴に『ちゃん』付けるんだよ?」照れ隠しに話を変えようとする青くん。

「早く行くよぅ。」桃さんは、口元に笑みを浮かべながら軽やかに歩いている。



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