中庸的な日常。

ふと振り返ると、青くんが見知らぬ人に話しかけられている。

青くんは「友達の家のカルピス」のような雰囲気を醸し出している。

夏場の清涼飲料水みたいな空気に吸い寄せられて色んな人が集まって来る。
とは言っても大半が犬と子供であるが。

だがしかし、よく見てみると今回の相手は若い女性。
「キャッチセールスかなぁ？」と思ったが、様子が何やら親しげな雰囲気。

桃さんの胸にふつふつと湧き上がる違和感。そう、嫉妬と呼ばれる感情である。

そもそも青くん自体は、そんなに性別を感じさせない。

中性的だとかそんな意味ではなく、なんだかんだで異性間の警戒心を緩めさせる、

そういった何かを生まれながらに兼ね備える人畜無害な人間なのである。

「青くーん。」

その声に反応するかのように、慌てて「じゃあね」と手を振り、その場を去る女性。

「今の人…、知り合い？」１度は飲み込んだ言葉を口に出す桃さん。

「うん。昔の知り合い、、かな？」

「んん～？何か変だぞぅ？ひょっとして昔の恋人だとか？」

こういった時の桃さんの勘は、未使用のコピー用紙の端より鋭い。

「昔って言っても学生の頃だよ。１８歳ぐらいだから、、かなり前？」

「かなり前にしては親しげじゃない？」

「たまに会うから。」

「どーゆー事！？」一気に不快指数１００％の顔の桃さん。それとは対照的に、やけに落ち着く青くん。

大丈夫なのか？青くん！？