中庸的な日常。
「え?なんで怒ってるの?」キョトンとする青くん。

「そりゃ怒るよぅ!」ムスッとしながら答える桃さん。

「あのさ、バンビの掛かり付けの獣医さんいてるでしょ?」

バンビというのは、青くんが飼っているチャイニーズクレストドッグという犬種なのだ。

「今の話に関係ありませんけど!」みるみる目が赤くなる桃さん。

今まさに二人の危機だというのに、何を落ち着き払ってるのか理解できない桃さん。

キムチ鍋を食べる青くんは幸せそうな顔してたなぁ。もうあの笑顔を見る事ができないのかぁ。

ちょっと理屈っぽいけど色んな話をしてくれた青くん。
私の仕事の愚痴を嫌な顔ひとつしないで、しっかり聞いてくれた青くん。

そんな青くんが他の女性と、、、

たしかに青くんは優しいよ?老若男女問わず、困ってる人を見たら自分の事より優先して助けたり、、でも私がいるのに他の女性と、、、


グスッ、、、


「え?え?どうしたの桃さん??」急に慌てふためく青くん。

「青くんが、、そんな人だなんて、、。」ついに泣き出した桃さん。

「ちょっと…何か誤解…してない?」事の重大さに気付いたのかもしれない青くん。

「最後まで話を聞いてよ。」

「聞きたくないよぅ。」

「さっきバンビの獣医さんの話をしたでしょ?」

「うん、、」

「あそこのリチャードギア似の院長先生が再婚したんだよ。」

「うん、、、」

「さっきの彼女は先生の奥さんなの。つまり再婚相手。」


「え、、、?」


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