中庸的な日常。
さてさて、皆さんは「スイカ理論」と呼ばれる理論をご存じであろうか?

甘いスイカに、わざわざ塩をかける事によって、スイカの甘さを際立たせる。という理論だ。

これは恋愛にも同じ事が言える。

今回の青くんの件のように、問題は生じたが、「勘違い」と言う、恋愛とは正反対のベクトルが作用する事で、ふたりの仲が引き立つ結果になるのだ。

以後、ふたりはスイカに足を向けて寝れない。と言っていたが、そもそも食べ物に足を向けてはいけないと言うのは当たり前である。

「そうだ桃さん。」不意に青くんが言う。

「なにぃ?まだこっち見ちゃヤだ。」鏡で自分の顔を見る桃さん。

「消しゴム…ってあるでしょ?」

「どしたの?いきなり。ってまだ見ちゃダメだって。」

「消しゴムってね、頑張れば頑張るほど自分の体が小さくなるでしょ?」

「うん。だって文字を消してるから、、」

「それって儚いけど、なんか幸せじゃない?」ほほ笑む青くん。「だってさ、自分を必要としてくれる人の為に、我が身を削って役に立ちたいって事でしょ?」

「うん、、?」ピンと来ない桃さん。

「僕、そうありたいな、、って思った。」

「んんん?」首をかしげ、言葉の意味を理解しようと思考を巡らせる桃さん。

「さっき僕の事で、あんなに、、、」桃さんをじっと見つめる青くん。

「うん、、」青くんの言う意味を理解した桃さん

「ねぇ?」

「ん?」

「・・・、・・・・。」桃さんの耳元で何かを呟く青くん。

彼女は、その言葉をすぐに理解できた。

そして涙を拭う桃さん。


こうしてふたりは入籍しました。


人生の転機なんて、どんなきっかけで、何が起こるかなんて誰にもわからない。

大小の様々な歯車が噛み合い、回りながら明日が来るのである。

結婚し、桃さんは専業主婦に。青くんは今までと変わらず会社員。

家は賃貸だけど、今までより少しだけ大きな間取りの部屋にお引っ越し。

これから青くんと桃さん、そして犬のバンビの3人(厳密には2人と1匹)での、穏やかで新しい生活が始まるのです、、、

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