首筋に、甘噛み。
「私、先輩のこと好きです。ヴァンパイアって知ってる今もなんにも変わってません」
彼女のひんやりとしてる手が俺の頬に触れた。
そういえば、冷え性だって言ってた。
そんなのどうでもいいけど。
そんなどうでもいいことを俺はいちいち覚えてしまっている。
「お前って本当に、最初からしつこい」
俺は腕を引いて、彼女の身体を起き上がらせた。
俺は何度も逃げた。
でもこいつは追ってきた。
俺は我慢できる線を引いた。
でもそれさえも越えてきた。
だったら、もう知らない。
だったらもう、本能には逆らわない。